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セルロイド

慧×明日叶

過去(幼少期)捏造注意。
初期プロットが消えたので消沈しながら手直し中。あと一話。


慧にとって、小林明日叶という存在はなくてはならない大切な人間だった。

まだ慧が小学生だった頃、ある時期同じクラスへと転校してきたのが明日叶だった。明日叶はこれまでも父親ー小林冬麻ーのキュレーターの仕事の関係で様々な場所を転々として来ていて、その時たまたま在籍するようになったのが慧がいた学校のクラスだった。
転校したてだった明日叶の身体は今思い出してもとても小さく、身体の成長時期が女子に比べて遅かった男子とはいえ明日叶はその中でも小柄で色白で、大人しい性格だったものだから、そのあどけない表情と顔立ちからまるで可愛らしく同時に中性的な子供として慧の目には映っていた。何より、その紫がかった大きな瞳には密かに胸を射抜かれたかのような思いすら抱き、クラスメイト達が騒ぐ教室の中、慧はただじっとひとり口を噤んで俯きがちにしていた明日叶のことを見つめていた。

思えば、その頃からだ。
ふと過去の思い出に浸っていた慧は思う。

ホークとの因縁に決着をつけ、更には魁堂との養子縁組も白紙に戻し改めて藤ヶ谷の姓に戻った数日後、過去の蟠りを完全に消化し晴れて円満な仲へと昔以上になった明日叶には、二人のきっかけが美術館に展示されていた慧の父親の作品を明日叶が他の者にすり替えられた贋作であることを見抜き助けてくれたことと話したが、実際は慧にとっての明日叶への思いは転校初日だったあの日から始まっていた。

明日叶にとっては初めてトゥルーアイズの力を気味悪がられず、寧ろ手助けしたことにより礼を言われた時からが慧を特別視するようになったのだろうが、慧はそれでも構わないとしている。
明日叶は慧と出会うまでの間、ずっと独りで不可思議な力を抱え宿し、悩んで悩んで苦しんで、果ては幼さに似合わぬ固い殻に閉じこもりつつあったのだから。
時に悪意なく、偽りを真実と見破り、真実を偽りと見破るのを口にしたことで逆に浴びせられた訝しげな周囲の眼差し。侮蔑の多く含まれたそれは直接的な言葉と一緒になって幼い明日叶の心を突き刺し傷付けた。そして人に理解されない力を持ったことで明日叶は一層悲しんで、嘆いて、人と異なる自分を嫌っていた。だから上手く周囲に溶け込めずに転校して来てからまたアメリカに去って行くまでの間、ずっと友人は慧ただ一人でいた。

本当は、クラスの誰もが明日叶に近付きたかったのを慧は知っていた。
けれど美術館での明日叶の一言に向けられた様々な言葉は幼稚で無知だったからこそ重くのし掛かり明日叶を痛ませ、結局のところ明日叶は慧にしか心を上手く開かず慧とだけ笑った。慧もまたそれを知りながら自分も明日叶を独り占めしたいが為に敢えてクラスメイト達の気持ちを教えずに明日叶の隣に立ち、明日叶の手を引いた。
なんという子供ならではの愚かさだろうか。だが分かってはいても、慧はそれを後悔などしない。
慧は明日叶を守りたかった。笑顔が見たかった。しかし誰にもそれをあげたくもなかった。明日叶は慧を、慧だけを頼りにして信頼の眼差しを向けてきたからそれが一層心地がよかった。
明日叶と呼べば慧と甘い声で呼び返される。そのなんとも言えない満足感。
自分を助けてくれた明日叶を今度は自分が助け、そして守るという誓いは子供ながらにとても大きくて、きっとホークによる両親の殺害という惨劇が起こらなければ離れ離れになった後でも明日叶との繋がりを持てた筈だった。だが、幾らそう思いはしても惨劇は起きてしまった。まだ幼かった慧の心を一気に凍りつかせる、血生臭いと一言で済ませるには醜い出来事。両親の、殺害だ。

それからと言うもの、唯一の生き残りだった慧は魁堂に養子として引き取られ復讐を果たすために力を求めに求めた。人を、ホークを確実に殺すが為の力を。それは遠い昔に誓った、明日叶を守るためではない力。

そして時折、夢として現れた幼いままの明日叶の曇りない眼差しが慧に向けられるとその度に苦しくなった。
慧、と変声期を迎える前だった幼い、可愛らしい容姿の明日叶。夢の中で慧の両手は真っ赤で、その手に戦慄けば幼い明日叶が手をそっと握る。振り払うことも出来ずに唇を噛めば小さな手が慧の手と頬と頭を撫で、ただ静かに笑うばかり。日々を鍛錬に費やし復讐を遂げる日を今か今かと待つ慧はそれまで何度も擦り切れそうになって、そんなときは決まって幼い明日叶の夢を見た。苦しくなると同時に何処か心が軽くなった気がして、その度に無意識に明日叶の名を呼ぶ。

父の作品と贋作とを見抜いてくれた明日叶。
そんな明日叶を家に招いて遊んだ記憶。

木々と草花が豊かに生い茂った広々とした庭。庭には林檎の木があって秋になると実った果実を収穫して母にアップルパイを作ってもらった。それを食べると明日叶は笑顔を浮かべて美味しいと言って…かくれんぼや二人だけの鬼ごっこ、木登りなんていうのもして遊んだ。全てが今は遠い記憶だと思っていたのに。汚れた自分には明日叶という綺麗なものに触れる資格なんてもうないと思っていたのに。なのに。

「明日叶…」

お前はまた、俺の前に現れた。


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小見

Author:小見
御米と書いておこめと読みます。
♀/1215生まれ/犬猫好き。
STEAL!の明日叶ちんに心を盗まれました。(@カリ○ストロ)明日叶ちんはグリフ全体の嫁。二年生トリオ(別名・明日叶サンド)と三年生ドSコンビも好き。キャラ単では慧と眞鳥さんとディオが贔屓目です。
ついったーさんを始めたので最近はもっぱらそっちで原稿と仕事の傍らくっちゃべってます。フォロー歓迎です^^

尚、当サイトではディオと慧のCPは絶対NGとなっておりますのでご注意ください。明日叶受け以外では理事長と眞鳥さん、眞鳥さんと桐生さん、興さんとヒロなんかが許容範囲内となっていますが、自発的には書きません。あくまで精神的な繋がり推奨です。
サイトの根底としては基本的にメンバー(+理事長)→明日叶です。総受け萌えなので。
こんなサイトですが宜しくお願いします。

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